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2013.04.01

岡田尊司 「母という病」

Haha精神科医の岡田尊司「母という病 」を読みました。

同じ岡田さんの「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」もとても良かったのですが、この「母という病」を読んで、私も抱えている「母という病」は「親子関係の問題でもあり、人生全体を左右する問題だ」(P11)ということに改めて気づくことが出来ました。

この本の中には、多くの有名人、ジョン・レノンやユトリロ、ジェーン・フォンダやヘルマン・ヘッセ、宮崎駿などの例も出ています。「母という病」を持った人は、その病ゆえに特別な才能を発揮することに繋がってもいます。つまり苦しみの中から大きな価値あるものを生み出しているということです。

今まで私は「親との関係」に問題があると気付いてからは、沢山の本を読みました。このブログにも沢山書きました。その読んできた本と比べても、特に大きな納得感が得られたような気がします。

「良い子」で過ごしてきて「反抗期」も無かったのは親を苦しめたくなかったから。「母という病」を抱えた人は「良い子」を演じざるを得なかったのです。親だけでなく周囲の人のちょっとした反応が「自分のせいだ」とか「自分が○○したからかもしれない」と不安に陥るパターンは、ふと忘れたころに芽生えてきます。

最近も少しそういうことがありました。ちょうどこの本を読んでいて「母という病」を持っている私だから、そんな思考に陥るのだと理由がわかって少しほっとしました。不安から抜けて「良いこと」に目を向けるように意識を変えて乗り切ることが出来ました。

最近「怒り」について勉強していましたが「傷つきやすさ」を抱えるということは「怒り」にとらわれやすいし「母という病」を抱えた人は「怒り」にとらわれやすいだけでなく「怒り」を上手く使いこなすことが出来ない(P58)とあり「怒り」の感情の根っこには「母という病」があることを改めて感じました。

白人の子どもなどに比べて、アジア系の子どもでは、不安の強い遺伝子タイプの持ち主が多いそうです。つまり母親のかかわりの影響を欧米人以上に受けやすいのがアジア人で、愛情不足に敏感なタイプと平気なタイプに違いがわかれ、白人は鈍感なタイプが6割を占めるが、日本人などのアジア人種では3分の2が敏感なタイプだそうです。(P93)

つまり、欧米で当たり前に行われている子育てのスタイルをそのまま真似することは、日本人にはそぐわないということです。愛情不足の影響が大きく出てしまうのですね。「不安の強い遺伝子」、まさに私は「不安の強い両親」に育てられたなあと実感します。

著者はしかし「母という病」は「母親だけに原因があるというよりも、母親や子どもを守れない社会にも原因がある」と言っています。

今子育て中のお母さんは、もしかしたらこの本を読んで猛烈な苦しさを感じるかもしれません。でも自分の苦しさや子育ての辛さの原因が「母という病」にあると理解することが第一歩となり、自分が何に苦しんできたのか、今、自分に対して、そして子どもに対して何が出来るのか、ということが分かるかもしれません。だから辛くなるかもしれないけれど、その辛さを少しづつ乗り越えていけば、きっと少しづつ自分の「生きづらさ」や「子育ての苦しさ」を克服していけるかもしれません。

第7章「母という病を克服する」では、どのように克服していけるのかが書いてあります。「母という病の自覚は、ある意味、新たな苦しみの始まりでもあるが、それは回復への第一歩なのだ」(P220)とあります。親が変わってくれればいいのだけれど、親は変わらないことが多い。その場合は距離を置くしかない。

本当にその通りです。親と距離をおくなんて「酷い親不孝者」と思ってしまうかもしれないけれど、それが必要です。

心理的に距離をおくこと。辛いかもしれないけれど「私は私」として生きて行く、
と覚悟を決めることがとても大切だと思います。

そのためには否定的な体験を吐き出すことが最も必要です。一番良いのは日記などに書く事ではないでしょうか。沢山書くなかで事実を客観的に見つめられるようにもなります。最初は主観的に書けばもちろん良いのです。辛い出来事、恨み、悲しみ。そいう言ったもの全て吐き出すことは絶対に必要です。


「母という病」を抱えているからこそ、私は人の気持ちに過剰に反応しつつも「コミュニケーション」について真剣に考えたり、取り組んだり出来るようになりました。そして人と関わる仕事に就いて喜びを見出す事も出来ました。

全ての事に意味がある、というのは本当だと思います。親との関係で悩んでいる人にはぜひお勧めしたい1冊です。

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