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2010.11.29

「親子という病」 香山リカ

このところ以前よりは親とよい関係を保てていると感じています。

「親子の問題」はずっと取り組んで行きたいテーマとして存在しつづけると思います。
カウンセリングや、友人からの相談で、人との関係の取りかたの難しさや、生きにくさの話などを聞いていると、
そこには多かれ少なかれ、生まれたときから身近にいた大人(多くは親)からの影響があると思うからです。

AC(アダルトチルドレン)的な捉え方も納得が行くところもあるし、
「自分が親を選んで生まれてきた」というスピリチュアル的考え方にも共感できる。
親との関係を考えたことをきっかけにして、カウンセリングの世界に足を踏み入れたようなところもあります。

「産んでくれてありがとう」と叫ぶアーティストがいる一方で
「なぜ私を産んだの?」と怒りの感情を親に向け攻撃する子供がいたり、
「家族は恋人」と臆面無く表現する親がいる一方、子供を虐待してしまう親がいる現代。
なぜ「家族は社会の最小単位」と皇太子は繰り返すのか、
など、古くから精神分析の世界で取り上げられてきた家族という問題が、
今もなお古くて新しい問題として存在しつづけていることについて、この「親子という病」を読んで考えることが出来ます。

親との関係を上手く保てて、自立出来てきたと思っても、
結局は親を見捨てたのではないかと思ってしまう罪悪感や自責の念にさいなまれてしまうとか、
「母親は子供を無条件に愛するもの」という母性愛神話が女性を苦しめているのは、
日本社会が意図的に手放してはいけないもの、と
して神話を扱っているから、という部分については、なるほどと思えます。

「結局のところ、完全に健全な親子関係などありえないのだ。
親子である限り、そこには"何か“ある、と思ったほうがよい。
もっと言えば、あらゆる親子関係は病的なのだ。
しかもそれは、子が生まれた時から始まり、永遠に治療不可能な病なのである。」(p158)

と断言する香山氏は、それでもまだ出来ることがあると言います。

「自分の人格をどう成長させ、人生をどうアレンジしていくのかの決定権、主導権は、自分自身にある」(p173)
「親に苦しめられている人も、親と離れることは出来る」(P180)
と自覚する。そのために「孤独力(親から離れる分離不安を克服する)ことと、
経済的に自立する」ことが大切であり、
そして親の方は「子供は親が思うより、親思い」(P185)「放っておけば子供は出て行かない」(P186)
ことを最低限知っておくべきだと述べています。

自分自身を振り返ってみても、恋愛して結婚することをきっかけに
親から物理的には離れることは出来ましたが、心理的には離れられずにいました。
それは母娘の関係の特徴として、
支配・被支配の関係が深いレベルで染み込んでいたからかもしれないし、
また私のほうにも分離不安があったからかもしれません。
「孤独力」は、以前よりは育っているかもしれないけれど、
「一人でも生きていける」と言い切れる、より自立した自分になりたい。

「親に・・・されたから」「こんな家族だったから」・・・だから私はこうなってしまったのだ、
という言葉を聞く事がありますが、そんな時には
「でも今、自分がどのように生きるかを決めるのは、自分なのですよ」と伝えます。
自分が決めて自分で自分の人生を選んでいけるということが、
感覚として分らないということは理解できますが、
親のせい、人のせいにしてばかりだと、そこから進めないような気がします。

現代の親は「自立しなさい」と子供にプレッシャーを与えて欲しい。
私の場合は「結婚しなさい」という言葉をきっかけに、
物理的には離れられた訳ですが、それでも心理的な自立には時間がかかりました。

ずっと家にいたら「嫌だ」と思いながらも分離不安をかかえたままになっていたかもしれません。
「子供を突き放すという苦しさ、辛さ」というのがある訳ですが、
親からのプレッシャーが無ければ、子供が自ら自然と自立していく可能性は低いわけです。

子供の側からも、親の側からも、一読の価値がある本です。

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